ARMなWindowsを触ってみたい気持ちはわかる!では実際はどうかというと…
SurfaceもSnapdragon X Eliteになった2024夏
2024年6月から、一斉にARMベースのSnapdragon X Elite / Plusを載せたWindows PCが発売されています。
やはりその筆頭はSurfaceです。Microsoft謹製ということもあり、SurfaceがSnapdragon X Eliteに載せ変わった、というところに MicrosoftのARM Windows普及何度目かの正直を狙っている感を強く感じますね。
そしておそらくドルベースでみるとスペックの割に安価なのではないでしょうか。(円安のせいもあって全然お買い得感がないのですが)
触りたくてうずうずしているエンジニアの方も大勢いらっしゃるのではないかと思います。
先日1台Snapdragon X EliteなWindows PCを手に入れまして、開発環境としてどこまでいけそうかを確かめてみましたので、エンジニア目線で何が動いて何が動かないのか、そして感想としてどうなのか、みたいなところを記事にしていきます。
問題なく動くモノリスト
まずは、問題無く動くモノリストです。
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Google Chrome
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Power Toys
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Windows Terminal
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Visual Studio Code
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Slack
このあたりは全く問題無く動きます。ARMベースのものがすでにあります。
そして、WSL(Windows Subsystem for Linux)も問題無く動きます。PowerShellで
wsl --install
とするだけで、Ubuntuも入ります。ARM64(aarch64)でちゃんと動いていることも確認が取れます。
ここが動かないのに気をつけろリスト
そしてここからは実際に開発や業務等で使用する際に気をつけるべきポイントについてまとめていきます。
プリンタドライバ
地味に痛かったのがプリンタドライバです。
使用するプリンタがARM Windows向けのドライバを提供しているかどうかはよく確認しておいたほうがよさそうです。
多くのメーカーが「OS標準ドライバ」を使えば一応動く…という案内になっているかと思います。
Canonさんも、 【インクジェットプリンター】Windows 11 ARM対応状況 のページ内でキヤノン製ドライバではなくOS標準ドライバを使うように案内しています。
弊社の業務用のプリンタはドライバ提供されていなかった上にOS標準ドライバでも認識せず…詰みました 😇
ペーパーレスな環境に優しい世界を目指していくしかありません。
セキュリティソフト
各種セキュリティソフトも急ピッチで対応を進めているところかと思います。
ESETなどはかなり早い段階で対応していたり( Windows ARM64プロセッサーへの対応について )、他のソフトも今夏中には…といった形で告知を出しているものも多かったので、来年になる頃にはあまり気にしなくて良さそうです。
IME
ATOKやGoogle 日本語入力はまだARM版Windowsに対応していません。インストールできません。
人によっては致命的かもしれませんが、結果としてMicrosoft IMEを使ってみると、全然使えるレベルになっていることに気付けました。
なので、そこまでナーバスにならなくてもいいのではないかと思いますが、人によっては嫌なモノは嫌、となるポイントかもしれません。
linux/aarch64に対応していないDockerイメージ
ここまではどちらかというとエンジニア関係ない話が多めでしたが、WSLでのDockerイメージについて注意が必要な点は知っておく必要がありそうです。
先述のとおりWSL自体も ARM64 ベースで動いているので、Dockerイメージで linux/amd64
にしか対応していないイメージは動かないことになります。
よって、エミュレータで対応することになります。QEMUを使う方法については ARMなWindowsのWSLでamd64なDockerイメージをQEMUで強引に動かす方法 の記事にまとめておきましたのでご参照下さい。
ちなみにWindows環境自体でのDockerならどうにかなっているのか…は未検証ですが、まあ、やっぱりWSLベースで開発していたほうが何かとスムーズにはなりますよね… (Powershell環境も大きく改善されてきていますが)
実際開発機としてどうか?の感想
以上、いくつか注意点をまとめていきましたが、ザックリとした感想としては、 かゆさはあるけど思ったより全然使える 、といった感じです。
Apple SiliconなMac同様にバッテリー持ちやサクサク感は大きく改善されていますし、
今はローカルでは本当にコードをタイピングするだけにしてクラウド側で諸々実行する、という発想もあるかと思うので、
軽量でサクサク動いて長持ちするPCが欲しいだけ、一応たまに軽く開発する(動かないのがあったらクラウド側でどうにかする)みたいな扱いであれば、全然ありかなと思います。
Macと違って物理的に軽かったり小さかったり、あるいは逆に大きかったり、多種多様なPCが色々なメーカーから出てくるでしょうから、そういった観点での比較検討も出来るのはとても良い点だと思いました。
まとめ
以上、Snapdragon X EliteなWindows PCで開発環境をセットアップした感想をまとめてみました。
買うならもう少し待ってみてもいいかな、という感じはしますが、今後の発展に大きく期待です。
これは別にARMのWIndows PCであるかどうかとは関係ない話として、特にWSL, PowerToys, Windows Terminalみたいなところの環境が整ってきてからはWindows使っていると意外とイケるやん!という感触を得ることができますが、 やっぱりMacに戻ってくると実家のような安心感がありますね。
そう考えると、一家に1台ずつは欲しいですね。そしてWindowsはアーキテクチャごとに1台ずつということで、3台必要ですね。